冷たいものを、冷たいまま入れない。

スイカに塩。あれ、なぜだと思いますか。

「甘みが引き立つから」と答えた方は、

半分正解です。

日本人は、答えのすぐ隣まで来ていました。 

 

縁台。 この言葉が通じる世代は、

もう多くないかもしれません。

夏の夕方、家の外に細長い腰かけを出して、

そこでスイカを食べる。

うちわであおぎながら、

種を庭に飛ばす。

 

昭和の初めごろまで、

日本の夏はそういうものでした。

冷房はありません。

体はしっかり暑い。

その状態で食べる冷たいスイカは、

理にかなっています。

 

熱を持った体を、

ちょうどよく冷ましてくれる。

 

では、いまはどうか。

冷房が効いた部屋。気温は25度前後。

すでに体は冷えています。

そこに、冷蔵庫から出した冷たいスイカ。

同じスイカでも、

体に起きることはまったく違います。

 

さて、日本人はスイカに塩をかけます。

なぜかと聞くと、

たいてい「甘みが引き立つから」

という答えが返ってきます。

半分は正解です。

でも、もともとなぜその習慣が生まれたのか。

冷たいものを、そのまま体に入れない。

何かをひと振りして和らげる。

昔の人は、理屈ではなく体でそれを知っていました。

 

インドの伝統医学は、

同じ場面で別のものを勧めます。

黒胡椒です。 スイカに、ブラックペッパー。

聞いた瞬間、「合わない」と思われたはずです。

私も最初はそうでした。

でも、これが古い医学書に

書かれている食べ方なんです。

 

しかも、こんな記述まで残っています。

雨の日や曇りの日にスイカをそのまま食べると、

体を壊しやすい。

天候によって、

消化する力が変わるから。

 

5000年前の医学書が、

そこまで見ていた。 だとしたら、

冷房の効いた室内はどう扱えばいいのか。

 

日本には、薬味という文化があります。

冷奴にみょうが。そうめんに大葉と生姜。

これ、実は同じ発想なんです。

冷たいものを、冷たいまま入れない。

日本人は、答えのすぐ隣まで来ていました。

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